浦和競馬所属調教師の処分及び浦和競馬組合職員の不適切な業務遂行等について
2026/7/17
この度、浦和競馬所属の 小久保 智 調教師が「南関東地区における認定きゅう舎(*1)制度に関する申合せ事項(*2)」(以下、「申合せ事項」といいます。)に違反する出走投票(*3)を行ったこと、並びに、これに関連して、当組合職員の規定に反する誤った回答及び当組合における規定遵守のための手続の不備があったことが確認されましたので、お知らせします。
南関東地区4場主催者において取り交わした申合せ事項には、「競馬場内施設で馬検査(*4)を受けた馬が、馬検査を受けた日以降に認定きゅう舎に移動した場合は、当該馬検査に係る開催のレースへの出走は認めないこととする。」(以下、「本件規定」といいます。)としています。なお、認定きゅう舎から競馬場施設への移動の場合は、出走が認められています。
1 事案の概要
本件は、令和7年12月10日に、当組合に対し、当該調教師の管理する競走馬が、本件規定に違反して出走していた旨の通報があり発覚しました。これを受け、当組合は、当組合の保有する当時の記録等の資料の調査を行うとともに、当該調教師及び関係職員に対し複数回の事情聴取を行った結果、以下の(1)及び(2)の事実が確認されました。なお、調査結果の概要は別添のとおりです。
(1)当該調教師について
当該調教師は、令和5年2月、4月、6月、7月に野田きゅう舎で競走馬延べ6頭の馬検査を受検後に当該競走馬を認定きゅう舎に移動させたにもかかわらず、本件規定に違反して出走投票を行いました。
① 令和5年2月の移動については、野田管理事務所(*5)に移動の届出をした記録はありませんでした。他方、当該調教師は、「当時の埼玉県浦和競馬組合競走業務課番組担当(*6)職員及び野田管理事務所長の了解を得た上で移動したのだから、違法ではない。」と主張しています。
当組合による関係職員の事情聴取の結果や文書記録等の調査の結果、令和5年2月の移動の際に競走業務課番組担当職員及び所長が了解を与えた、との事実を認定することはできませんでした。
② 令和5年4月以降の移動については、野田管理事務所に移動の届出をした記録がありました。
当該調教師は、「当時の野田管理事務所長の了解を得た上で移動したのだから、違法ではない。」と主張しています。
当組合による関係職員の事情聴取の結果や文書記録等の調査の結果、当該所長が、当該調教師に対し、「出走に問題ない」旨の回答をした事実を認定しました。
(2)当組合職員について
① 当時の野田管理事務所長は、令和5年4月頃、当該調教師から、認定きゅう舎への移動について問合せを受けた際、当該調教師に対し、「出走に問題ない」旨の規定に反する誤った回答を行っていました。他方、当該所長は、「問合せを受けたため、部下の職員から番組へ照会させ、番組から『問題ない』旨の回答を得たので、その旨を当該調教師に対して回答した」等と主張しています。
当組合による関係職員の事情聴取の結果や文書記録等の調査の結果、令和5年2月及び4月のいずれにおいても、番組担当職員が、野田管理事務所職員に対して『問題ない』旨を回答した事実を認定することはできませんでした。
② また、競走業務課番組担当は、出走投票における欠格事由の有無を確認するに際し、認定きゅう舎への移動の記録を確認する手順を備えておらず、出走予定馬の移動履歴の確認をしていなかったため、当該競走馬の出走投票を拒否しませんでした。
2 当該調教師に対する処分
(1)処分内容
戒告・賞典停止4日(令和8年8月7日(金)、8月10日(月)~8月12日(水))
(2)根拠法令
競馬法施行令第17条の3の規定に基づく埼玉県浦和競馬組合地方競馬実施規則第77条第1項第9号及び同条第2項
(3)処分の理由
浦和競馬では、「当該競馬の10日前入きゅう以降、一時的に退きゅうした馬」を出走投票欠格馬とし、「競馬場施設内で馬検査を受けた馬が、馬検査を受けた日以降に認定きゅう舎に移動した場合は、当該馬検査に係る開催のレースへの出走は認めないこととする。」ことを規定しています。これらの規定の趣旨は、競馬の公正を確保することにあり、これらの規定に抵触する行為は、競馬の公正を害するものです。
また、これらの規定に抵触する行為は、管理者指示事項の「きゅう舎関係者は、競馬関係法令及び埼玉県浦和競馬組合の定める競馬に関する条例規則、要網等を遵守するとともに、競馬の公正を確保するために、最善を尽くさなければならない。」とする規定に反するものです。
3 当組合職員への対応
当時の野田管理事務所長(令和5年3月31日時点で57歳)と、野田管理事務所及び競走業務課番組担当を統括していた当時の競走業務課長(令和5年3月31日時点で59歳)は、当該不適切な業務遂行等の後に埼玉県に帰任したため、当組合では処分等の措置を行うことができません。ただし、両者については、埼玉県が処分等の措置を行う権限を有するため、当組合から埼玉県に対し、当組合の調査結果について報告を行いました。
また、競走業務課番組担当を統括する当時の主任専門員(令和5年3月31日時点で64歳)は既に再任用職員としての期間は満了しており、当組合では処分等の措置を行うことができません。
4 再発防止策
(1)チェック体制の強化
入退きゅう管理業務(野田管理事務所)と競馬開催に係る競走馬の編成業務(競走業務課番組担当)の情報共有を確実に行うため、入退きゅうや番組編成に係る情報共有手順を新たに整備し、出走馬のダブルチェックを実施します。
(2)きゅう舎関係者からの問合せへの対応手順の明確化
きゅう舎関係者(調教師他)からの重要な問合せについては、上司まで決裁を得た後に回答する手順をルール化し、記録の作成及び情報共有を徹底します。
(3)所属調教師への指導
競馬の公正確保及び競馬関連規定等の遵守について改めて指導・徹底します。
(4)当組合職員への教育
競馬関連規定等の理解徹底を図るため、研修を実施します。
5 大野 元裕 組合管理者コメント
この度は、本件について、ファンの皆様並びに競馬関係者の皆様に多大なるご迷惑をお掛けし、心からお詫び申し上げます。
埼玉県浦和競馬組合といたしましては、本事案を厳粛に受け止め、チェック体制を強化するとともに、浦和競馬所属調教師に対する指導及び組合職員の教育を徹底し、再発防止に取り組むことで、ファンや関係者の皆様からの信頼回復に努めてまいります。
※ なお、本件において出走した競走馬6頭については、埼玉県浦和競馬組合地方競馬実施規則第70条に基づく失格等の措置はありません。
【参考】
埼玉県浦和競馬組合地方競馬実施規則(抜粋)
第70条 管理者は、第65条の2第3項の規定により着順が確定した馬について、当該競走が行われた日の翌日から起算して5年以内に、第64条第1項第1号、第3号又は第9号いずれかに該当する事由があると認めた場合は、その馬を失格とする。
※ 第64条第1項第1号、第3号又は第9号
(1) 第36条第1項から第3項までの規定に違反する行為があったとき。
→ 第36条 出走投票に係る馬その他の出走すべき馬(次項において「出走予定馬」とい う。)について、別表1に掲げる薬品又は薬剤(以下「禁止薬物」という。)を使用してはならない。
2 禁止薬物以外のものであっても、出走予定馬について馬の競走能力を一時的に高め、又は減ずる目的をもって使用してはならない。
3 出走させようとする競走の当日において禁止薬物の影響下にある馬を出走投票してはならない。
(3) 騎手が正当な理由がないのに馬の全能力を発揮させなかったとき。
(9) 競走に関し、馬が不正な協定の実行その他不正な目的に供されたとき。
第77条 馬主、調教師、調教師補佐、騎手又はきゅう務員が次の各号のいずれかに該当するときは、戒告し、又は期間を定めて調教若しくは騎乗を停止する。
(9) 前各号に掲げる場合のほか、競馬の公正を害し、若しくは害しようとし、又は競走に支障を生じさせたとき
2 前項の処分を受けた者には、期間を定めて賞金等の全部又は一部を交付しない措置(以下「賞典停止」という。)をとることがある。
(*1)認定きゅう舎:調教設備の整った民間施設の活用により、調教師に調教管理の選択肢を拡大させ、よりレベルの高いレースをファンに提供することを目的として、調教師からの申請に基づき、主催者が認定した牧場等の施設です。
(*2)南関東地区における認定きゅう舎制度に関する申合せ事項:認定きゅう舎制度を円滑に実施するため、南関東地区4場主催者において申合せ事項を取り交わしており、「認定きゅう舎で馬検査を受けた馬が、馬検査を受けた日以降に、調教の方法等の理由で競馬場施設内のきゅう舎に移動した場合は、レースへの出走を認める。但し、競馬場内施設で馬検査を受けた馬が、馬検査を受けた日以降に認定きゅう舎に移動した場合は、当該馬検査に係る開催のレースへの出走は認めないこととする。」としています。
(*3)出走投票:競走馬がレースに出走するための最終的な申し込みのことです。なお、埼玉県浦和競馬組合地方競馬実施規則に基づき作成した「浦和競馬番組」で、「当該競馬の10日前入きゅう以降、一時的に退きゅうした馬」は欠格事項に該当し、「出走を拒否する」としています。
(*4)馬検査:当該競馬の前日から起算して10日前までに所属きゅう舎に入きゅうしている競走馬を対象として行う歩様や外貌検査等のことです。
(*5)野田管理事務所:競走馬の調教を行う野田トレーニングセンター内に所在し、野田きゅう舎や馬の入退きゅうの管理等を行っている事務所です。
(*6)競走業務課番組担当:競馬開催の「競馬番組の作成」と出走馬の編成、出走投票の受付等の業務を行っています。




